1 はじめに
労働基準法89条9号は、「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」旨規定しており、使用者による懲戒については、就業規則の相対的必要記載事項とされています。
また、労働契約法15条は、「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事項に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」旨規定しています。
2 問題の所在
それでは、使用者が、懲戒処分を行った場合、懲戒当時に使用者が認識しておらず、懲戒処分を行った後に判明した事情を、懲戒処分の有効性を根拠付ける事情として追加することができるのでしょうか。
3 裁判例
最高裁判所は、「使用者が労働者に対して行う懲戒は、労働者の企業秩序違反行為を理由として、一種の秩序罰を課するものであるから、具体的な懲戒の適否は、その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものである。したがって、懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、特段の事情のない限り、当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから、その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることはできないものというべきである。」旨判示したものがあります。
4 まとめ
懲戒処分を行うにあたっては、過去の裁判例等も参照しながら、慎重な対応が必要であると思います。
使用者側の労働問題について、わからないことがございましたら、弁護士までご相談ください。

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