【判例解説】就業規則が周知されていない場合の就業規則の効力

1 はじめに

労働基準法は、常時十人以上の労働者を使用する使用者は、法律が定める事項について、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない旨規定しています。

また、労働基準法は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては、その労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない旨規定しています。

また、労働基準法は、使用者は、就業規則を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない旨規定しています。

2 問題の所在

それでは、就業規則が作成され、行政官庁に届け出がされているものの、周知がされていない場合、就業規則は、効力を生じるのでしょうか。

3 最高裁判所の裁判例

最高裁判所は、「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する」・・・「就業規則が法的規範としての性質を有する」「ものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するものというべきである。」旨判示しています。

4 まとめ

就業規則が、拘束力を生じないとすると、就業規則に基づく懲戒処分の効力に影響を及ぼすと考えられます。

使用者側の労働問題について、分からないことがございましたら、弁護士までご相談ください。

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