他の株主に対する招集手続に瑕疵のある場合と株主総会決議取消の訴え

はじめに

  株主総会を招集するには、取締役は、原則として、株主総会の日の2週間前までに、株主に対して、株主総会招集通知を発しなければなりません(会社法第299条1項)。

  会社法は、株主総会の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、または著しく不公正なときには、株主は、株主総会の決議の日から3か月以内に、株主総会決議取消しの訴えを提起することができる旨規定しています(会社法第831条1項1号)。

  それでは、株主は、自己に対する株主総会招集手続に瑕疵がなく、他の株主に対する招集手続の瑕疵があった場合でも、株主総会決議取消の訴えを提起することができるのでしょうか。

問題の所在

  株主総会招集通知が必要とされる趣旨は、株主に、株主総会への出席の機会と議題、議案に対する準備の機会等を与えるところにあります。

  株主は、自己に対する株主総会招集手続に瑕疵はない場合に、他の株主に対する招集手続の瑕疵を理由に、株主総会決議取消の訴えを提起できるのでしょうか。

裁判例

  最高裁判所は、「株主は自己に対する株主総会招集手続に瑕疵がなくとも、他の株主に対する招集手続に瑕疵のある場合には、決議取消の訴を提起し得る」旨判示しています。

まとめ

  株主総会招集手続に瑕疵があると、当該株主だけでなく、他の株主からも株主総会決議取消の訴えを提起されるリスクがあります。

  実務的には、株主総会の招集手続については、その瑕疵が生じないように慎重に事務手続を行う必要があると思います。

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