はじめに
株式会社の取締役の報酬について、会社法は、定款又は株主総会の決議によって定めることが要求されています(会社法第361条1項)。ただし、指名委員会等設置会社においては、会社法404条3項、409条に規定があります。
会社法第361条1項の趣旨は、お手盛り防止という政策目的であると考えられています。
問題の所在
会社法は、361条1項は、取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)について、次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める旨規定しています。
それでは、退職慰労金は、「報酬等」に該当するのでしょうか。
退職慰労金を決定するときには、当該取締役が退任していることから、問題となります。
裁判例
最高裁判所は、「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法280条、同269条にいう報酬に含まれるものと解すべく、これにつき定款にその額の定めがない限り株主総会の決議をもってこれを定むべきものであり、無条件に取締役会の決定に一任することは許されないこと所論のとおりであるが・・・前記退職慰労金支給決議は、その金額、支給期日、支給方法を無条件に取締役会の決定に一任した趣旨でなく、前記の如き一定の基準に従うべき趣旨であること前示のとおりである以上、株主総会においてその金額等に関する一定の枠が決定されたものというべきであるから、これをもって同条の趣旨に反し無効の決議であるということはできない。」旨判示しています。
まとめ
実務では、最高裁判所の判例をふまえて、法的問題が生じないように留意する必要があると思います。

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